10.カラーボックスを組み立てながら

大学編

自暴自棄な日々、何もする気が起きない。

3カ月程、こんな毎日を過ごしていた。

『このままじゃいけない』

そう思っても、心と体が追いつかない。

部屋の片隅に置いてある、組み立て前のカラーボックスが目に入った。

そういえば、茉奈がうちに来た頃に、『棚が欲しい』と言われ、ホームセンターで買ったものを、本人が居なくなって、そのまま放置していたのだ。

今更カラーボックスなんて組み立てても、仕方ない。

でも、そのまま放置していても、どうにもならない。

ダンボールを開梱し、組み立てようとした時、部屋のチャイムが鳴った。

こんな時間に誰だろう?

時間は夜21時を過ぎている。

遅めの来訪者に戸惑いながら玄関を開けると、そこには、新聞販売店の先輩である、松島さんが立っていた。

松島さんは同じ大学に通う1才上の先輩で、私と同じ新聞販売店に住み込みで働いていた。

「ちょっとお邪魔させてもらってもいいかい?」

「すみません。今カラーボックス組み立てようとしていたところで、、、」

「組み立てながらでいいからさ。ちょっと話そうよ。」

鬱陶しいなと思いながらも、いつもの優しい物腰に負け、断り切れず自室に招き入れた。

カラーボックスを黙々と組み立てるやさぐれた男と、何も言わずそれを見つめる男。

30分くらい過ぎただろうか。

松島さんが口を開いた。

『辛いときは、泣きなよ。』

プラスドライバーを握る手が震え、視界が滲んだためか、ドライバーの先端をネジ山に当てようとしても、うまくいかない。

嗚咽を堪えながら泣く私を、黙って見守る松島先輩。

言葉を超えた何かが、6畳ワンルームの部屋に、流れ通っていた。