11.絶望のその先に生き抜く知恵が湧く

ホームレス高校生編

 校長先生の助言で、家庭裁判所にも行ってみました。

 受付で、

 「家庭内紛争について、30分間の決まりで相談を受け付けている。」

とのことで、

 50代くらいのおじさん(裁判所書記官?)が応対してくれました。

 ですが、ここで言われたことは、市役所で言われたこととほぼ同じで、仕舞には、

 「こういった案件は、まず警察とか、市役所の保護課に相談する内容ですね。裁判を起こすのなら、手続き方法の概要を案内する。」と。

  私が、既に警察と市役所に相談して、得るものが無かったと言うと、

 「じゃあ弁護士だね。おっと、そろそろ30分になるので、以上で相談を終了します。くれぐれもヤケをおこしてはいけないよ。」と、ポンと私の肩を軽く叩いて、足早に去っていきました。

 何が辛いって、18才の高校生が、家庭裁判所に出向くなんて、相当勇気が必要だったんですよ。

 それと、結構時間かけてたどり着いたのに、得るものは無く、30分で打ち切られ、ろくに話も聞いてもらえなかった。

 今思えば、相談に行く場所を間違えたのかもしれません。

 ですが、どこに行っても、誰に話しても、頼るものなど無いという現実が、更に私の心を絶望の底に突き落としました。

帰るあてのない夕暮れの帰り道

 その帰り道のことは、今でも鮮明に覚えています。

 夕暮れ前の薄暗い道を、どうせ帰る場所も、寝る場所もないのだからと、ただひたすら歩き続けました。

 私の生まれた町から最寄りの家庭裁判所までは、JRで片道30分くらい。

 歩けば朝までには戻れるだろうと(戻るって、どこに?)

 ただただ1本の国道を歩き続けました。

 6時間程歩いたところで、ある橋に差し掛かりました。

 橋から川を見下ろして、

 「ここなら死ねるだろうか」

 なんて、思いました。

 川で溺れそうになっている私を、上から沢山の大人が見下ろしている。

 でも、誰も助けてはくれない。

 ある人は服が濡れるのを嫌がっている。

 ある人は見て見ぬふり。

 こうやって俺は溺れて死んでいくんだなと、夜中の川面をぼんやりと見つめていました。

誰かを悲しませたくないから生きよう

 ふと、I先生の顔が浮かびました。

 「俺が死んだら、I先生、泣いてくれるかな。」

 いやいや、

 「あの日の生徒指導室の時みたいに、烈火の如く怒るだろうな…。」

 真夏とはいえ、少し夜中の肌寒さを感じながら、

 なんだか「生きよう」という気持ちが込み上げてきました。

 家庭裁判所への相談結果をI先生に相談したところ、

 「親戚に相談してみてはどうか?」と助言してくれました。

 この、親戚への相談が、雨露が凌げる生活への第一歩になりました。

 どんな辛い、絶望の沼の底にいたとしても、「希望」はいつでも、自身の胸の中にあるのだと知りました。